ヒノキの森の案内人のページ

『資本論』に学びながら、世の中の矛盾について考えたことをつづっていきます。

📋G7広島サミットの欺瞞 その3

📒アメリカをはじめ核保有国への配慮――不都合な真実を隠した「広島平和記念資料館
 全面ガラス張りの「広島平和記念資料館」は、白いシートで覆われ、中の様子を窺うことができない状態にされました。報道機関も締め出され、各国首脳と面会した被爆者の方には、固くかん口令が敷かれ、証言の詳細や首脳たちのリアクションを口外しないように指示された、とのことです。いったい何を隠そうとしていたのでしょうか?
 報道によると、G7の首脳たちが見た展示内容は、アメリカからの細かい指示のもとに見せてもよいものとして改めて設置されたものだったようです。首脳たちが見たものは、一般の人々が当然目にし、一瞬声を失くしてしまうほどの「被爆の実相」ではなかった、ということです。
 しかし、なぜ、アメリカは日本に、展示内容の指示要請をしたのでしょうか? 報道によれば、アメリカ政府筋は、≪原爆の残虐性を伝える多くの展示を目の当たりにすれば、「核のボタン」を押す権限をもつ為政者の判断に影響する≫と考えていたようです。バイデン大統領は、被爆地広島にも、オバマ元大統領と同じように、「核のボタン」の入ったカバンを平然と側近に持ちこませていました。アメリカ政府としては、バイデン大統領が、被爆者たちの悲惨な姿を見て、「核のボタン」を押すことに躊躇してしまうことを恐れたのではないでしょうか。
 岸田首相は、G7閉幕後の議長国会見の場で、「被爆地を訪れ、被爆者の声を聞き、被爆の実相や平和を願う人々の願いに直接触れたG7首脳……」と語っていました。しかし、そのG7の最高指導者たちは、被爆地に「核のボタン」を持ち込み、報道陣を締め出した「広島平和記念資料館」の片隅で、アメリカの要請どおりの特設展示コーナーを見学し、被爆者のことばを聞いたというアリバイをつくり、40分のセレモニーを共有した者たちです。彼らは、78年前に、彼らが立つその場所に、アメリカが原爆を投下したことを、そしてそのことを謝罪しないことを許しています。なぜなら、彼らは、地球を破壊してしまうかもしれない・残虐で恐ろしい殺人兵器を、敵対国であるロシアや中国への威嚇の手段にして、資本主義社会の頂点をなすG7の最高指導者として結束しているのだからです。今回の広島サミットは、このような「G7の結束」こそが成果である、と示したことが、「広島平和記念資料館」での首脳たちの欺瞞的なセレモニーの様子を非公開にしたことで、かえって浮き彫りになったのだと思います。
 しかし、このことは、まったく許せないことです。