ヒノキの森の案内人のページ

『資本論』に学びながら、世の中の矛盾について考えたことをつづっていきます。

📋G7広島サミットの欺瞞 その1

📒 被爆地から発せられた、核抑止力を正当化した〝広島ビジョン〟  

 G7広島サミットが、19日~3日間の日程を終え閉幕しました。世界のトップ7ヵ国(=米英仏独伊加日+欧州連合)の首 脳たちは、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を示しました。しかし、そこには、「核廃絶」の文字はなく、被爆者た ちに対するものも、日本が米国とともに批准に反対した・核兵器禁止条約への言及もありませんでした。〝広島ビジョン〟 は、G7サミットでの初の核軍縮に特化した文書ですが、被爆都市・広島で開催され発信されたその内容は、核兵器保有と核抑止力を正当化するものでした。  

 わたしは、〝日本の選択〟は、『タイム』誌の表紙の見出しのとおりだった、と再確認しました。(※「岸田文雄首相は 数十年間の平和主義を捨て去り、日本を真の軍事力を持った国にすることを望んでいる」、と『タイム』誌は当初記載して いましたが、日本の外務省からのクレームにより、その表記内容を「国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」 に変えました。)日本は、NATO加盟国の6ヵ国が望むように国際舞台で「より積極的な役割を果たす」べく、核兵器保有 と核抑止力を正当化しました。〝広島ビジョン〟曰く、「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて 、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」、と。  

 そして、〝広島ビジョン〟の前文では、「全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現」と いうことが言われていますが、この究極の目標たる「核兵器のない世界」は、「安全が損なわれない」ために核兵器を持つのだ、と言って るのであり、まったく矛盾したことを言っていると思います。こんな呼びかけを、被爆地・広島から行っていては、全ての国において最高の抑止力 として核兵器を持ちたいという考えが出てくるのは必然となる、と思います。核兵器は「絶対悪」ではなく、「必要悪」になってし まいます。  しかし、しかし、そもそも、〝戦争〟そのものを無くすことこそが、わたしたちが求めることではないでしょうか。